不動産情報ラボ

トラブルの宝庫!?契約前に要確認「原状回復って?」

04-24-2016

「原状回復」という言葉を賃貸物件に住んだことがある方ならば、一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。
聞いたことはあるが実際には、なんの事なのか?何をしなければならないのか?という疑問にお答えしていきたいと思います。

原状回復とは

部屋を退去する時に、入居した時の部屋の状態(=原状)に戻す(=回復)ということです。
賃貸物件に住んだことがある方ならば、一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。

大家さんに退去する連絡をすると、引っ越しが終わったあと、部屋の状態の立ち会い確認があります。
そこで、入居者の責任で傷が付いたり、汚れたりした部分を確認し、それらを直すための工事費用の見積りをとります。
自己負担となる工事費用は、預けていた敷金から差し引かれ、敷金で不足していれば不足額が別途請求となります。
敷金を預けていない場合は、その全額が請求されます。

地域によって、自己負担の対象となる工事に多少の差はありますが、
『故意・過失にかかわらず、つい付けてしまった傷・破損・汚れ』と『クリーニング代』の2点が対象になるケースがほとんどです。

原状回復費用は、どちらが負担すべき!?

全てを紹介するとキリがありませんが、原因別でご紹介します。
(注:実際の物件の状態で、責任区分が異なる場合があります)

【入居者負担となる一例】
■クリーニングで落ちないタバコ、線香等のヤニによるクロスの張替え。
■引越し作業で生じたひっかきキズ、破損。
■エアコンなどから水漏れし。その後、放置したために生じた壁・床の腐食やシミ。
■カーペットに発生したシミ、カビ。
■家具等によるフローリングのキズ、へこみ。
■台所のガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす、焦げ等
■風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
■結露を放置したことにより発生したカビ、シミ等
■壁などに釘、ネジ等を使用し、下地のボードに張替えが必要な場合。
■飼育ペットによる柱等のキズ

【貸主の負担となるもの】
■テレビ・冷蔵庫等の背面の電気焼け
■日照等の自然現象によるクロスの変色
■壁に貼ったポスターや絵画の跡

なお、ハウスクリーニングは裁判所の判決や国交省のガイドラインでは、貸主負担とされておりますが、
関東では商慣習上、ハウスクリーニング費用を借主が負担する「ハウスクリーニング特約」が定められているケースがほとんどです。賃貸借契約書の特約条項への記載有無によって賃貸人負担、賃借人負担が分かれてきます。

ハウスクリーニング費用を入居者が負担するのであれば、契約を締結する時に特約条項に記載し、入居者に説明し、費用負担をするのが入居者ということを了承を得たうえ契約しなければ入居者に負担させることはできません。「賃貸借契約書の特約に記載するなど」一定の要件が必要になります。

ただし特約は全て認められるわけではなく、内容によっては無効とされることがあります。
国交省のガイドラインや判例等によれば、借主に通常の原状回復義務を課す特約が有効となるためには、
賃借人に負担をする場合として3つの要件として次のように記載しております。

ガイドライン特約要件
①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
②賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

以前は原状回復の自己負担費用をボッタくるトラブルが多発しており
「退去はトラブルになるのではないか心配だ」というイメージが定着していましたが、
紛争防止条例などガイドラインの整備によって、最近ではこういったボッタクリ行為は随分少なくなったようです。
とはいえ、部屋の状態によって自己負担になるかどうか、判断が難しいケースが多いのが現実であり、専門家の見解が必要な場合も少なくないでしょう。

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