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仲介手数料が家賃の1ヶ月分は妥当?契約時の初期費用を抑えるコツとは

01-14-2020

賃貸物件を借りる際は、敷金や礼金、前家賃や仲介手数料などの初期費用を払わなければなりません。借りる物件によっては、初期費用だけで家賃の5~6カ月分が必要とされ、借主にとっては大きな負担となる場合もあります。新しい生活を円滑に始めるためにも、初期費用はなるべく節約したいところ。そこで今回は、契約時に必要な初期費用の内訳や、安く抑えるためのコツなどについて解説します。

賃貸物件を契約するときに支払う費用とは

賃貸物件の契約時には、種々の初期費用を支払うのが通例です。節約するコツを知る前に、まず初期費用の内訳について知っておきましょう。

賃貸契約時に支払う費用1.礼金

まず、賃貸契約時に支払う代表的な費用として礼金があります。礼金とは、家主に対して支払われるお礼金のことです。古い慣習として残っている費用のひとつであり、物件や地域によっては初期費用のなかに礼金が含まれていないこともあります。相場としては、首都圏や東海地方で家賃の1~2カ月分となっていますが、その他の地域では礼金をとらないことがほとんどです。

賃貸契約時に支払う費用2.敷金

敷金も賃貸契約時に支払う代表的な費用のひとつで、一種の保証金のような役割をもっています。たとえば、家賃の滞納が発生したときなどは、契約時に支払っていた敷金から滞納分が充てられます。また、退去時の原状回復に充てられる費用でもあります。敷金の相場は、礼金と同じく家賃の1~2カ月分が相場です。ただ、礼金とは違って、敷金は退去時に原状回復にかかった費用を差し引いて返還されるのが特徴です。

賃貸契約時に支払う費用3.前家賃

賃貸物件では、月末までに翌月分の家賃を支払うのが一般的です。賃貸契約時にも、翌月分の家賃を前払いで支払います。この費用を前家賃といい、初期費用の一部として合算されます。ただ、賃貸物件を借りる際は、月の途中から入居するというケースも少なくありません。その場合は、翌月分の家賃に当月分の日割り家賃も合わせて、前家賃として支払うことになります。

賃貸契約時に支払う費用4.仲介手数料

仲介手数料は、賃貸契約を仲介した不動産会社に支払う費用です。礼金や敷金が家主に支払われるのに対して、仲介手数料は物件を紹介した不動産会社に支払われます。仲介手数料は、仲介業務を行う不動産会社の主な収入源のひとつです。物件案内の交通費(ガソリン代)や人件費などが含まれており、相場は家賃の0.5~1カ月分となっています。

仲介手数料は上限額が決められている

礼金や敷金といった初期費用は、法律によって上限額が定められているわけではありません。そのため、物件によっては、かなり高額の礼金や敷金が請求されることもあります。一方、仲介手数料は国土交通省によって上限額が決められている費用です。賃貸の場合、貸主借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計は、家賃1か月分+消費税が上限とされています。

また、仲介手数料の性質から見ると、その請求は物件の貸主・借主双方に対して行われるものといえるでしょう。しかし、実際は借主に対してのみ仲介手数料の請求が行われています。なぜかというと、貸主・借主双方の承諾を得ていれば、どちらか一方に対してのみ仲介手数料を請求できるという、仲介手数料の報酬額に関する特別な決まりがあるからです。

通常であれば、仲介手数料は貸主と借主の双方に、家賃の0.5か月分+消費税を上限としてそれぞれ請求されます。そのため、本来なら借主が支払う仲介手数料は、家賃の0.5か月分+消費税を超える金額にはなりません。しかし、貸主・借主双方の承諾があれば、どちらか一方に対してのみ仲介手数料を請求できるのです。もちろん、そのような不利な承諾を借主がするはずもありませんが、実は慣習的に「契約書で承諾を得た」という形で、借主に家賃1か月分+消費税という金額の仲介手数料が一方的に請求されているようです。

こんな営業トークにご用心

仲介手数料の支払いに関しては、不動産会社との間でトラブルが発生することもあります。もし、不動産会社の担当者から次のような説明があったときはくれぐれも注意しましょう。

「仲介手数料は法律で決められている」

賃貸契約の際に、「仲介手数料は法律で決められている」といってくる不動産会社があります。しかし、法律で定められているのは、あくまでも仲介手数料の上限額です。また、支払うことが法律で決められているわけではなく、上限の金額を請求できるということでもありません。上限額を超えて請求できないのはもちろんのこと、定額という説明も誤りです。上限を超えない範囲で、不動産会社の裁量によって決められるのです。ですから、仲介手数料の値引き交渉をして、安くして貰うことも可能です。

「まず仲介手数料を支払ってください」

仲介手数料は、不動産会社にとって成功報酬の一種です。そのため、物件を探す際に不動産会社の手を借りた場合でも、契約が成立しない限りは仲介手数料を支払う義務は生じないことになります。そうした事情から、まだ契約が成立していないにもかかわらず、「仲介手数料の支払いを」と、先払いで請求してくるような不動産会社は要注意です。

ただし、新築物件や人気物件では、「手付金」や「預り金」という形で申込みの際に費用が請求される場合もあります。こういった、申込み時に支払うお金は、契約金の一部に充てられることが多いため、契約が成立しなければ返金されます。しかし、実際は成約しなかったのに返金されないといったトラブルも少なくありません。手付金や預り金の金額も、通常なら家賃の1か月分程度が相場のところ、それ以上の高額な費用が請求されることもありますから、不動産会社に説明を求めるなど、トラブルに巻き込まれないように注意しましょう。

「別途手数料が発生します」

不動産会社が依頼者に請求できるのは、基本的に仲介手数料のみです。それ以外の費用、たとえば広告費用や宣伝費用などは、仲介手数料のなかに含まれていると見なされるので、別途手数料として請求することはできません。ただし、通常の仲介業務の範囲外で、依頼者の希望によって発生した費用に関しては「実費」として請求できることになっています。もし、「別途手数料が発生する」といわれたら、その費用がどういう種類の費用なのか、担当者にしっかり確認するようにしましょう。

賃貸物件をお得に借りるコツ

賃貸物件は交渉次第でお得に借りることもできますが、どんな場合でも交渉がうまくいくというわけではありません。交渉を成功させるためには、そのためのコツをしっかりと理解しておく必要があります。賃貸物件をお得に借りるコツを紹介しましょう。

値引き交渉しやすい時期を選ぶ

引っ越しを急ぐ特別な理由がないのであれば、部屋探しをする時期を見極めることで値引き交渉が成功しやすくなります。不動産業界には、繁忙期と閑散期があります。繁忙期は1~3月の引越しシーズンの時期、閑散期は7~8月の引越しには向かない暑い時期です。繁忙期の1~3月は不動産会社に出回る物件も多く、いろいろな物件を探しやすい時期である一方、家賃交渉や仲介手数料の値引き交渉はしづらくなります。

これに対して、閑散期の7~8月は部屋探しをする人が少ないため、不動産会社も契約を成立させるために躍起になっています。その分、家賃や仲介手数料の値引き交渉もしやすくなっているため、お得に賃貸物件を借りたいならこの時期に部屋探しをするのがよいでしょう。また、4~6月と11~12月の時期も、繁忙期を過ぎて顧客が少なくなるため、交渉の際にこちらの要望をのんでくれる可能性も高くなります。

値引き交渉する際は、まず家賃をターゲットに交渉するのが良いでしょう。家賃の値引き交渉に成功すれば、仲介手数料もその分安くなります。家賃交渉に失敗しても、交換条件的に仲介手数料の値引き交渉に移りやすくなりますから、まずは家賃を安くできないか掛け合ってみることをおすすめします。

なかなか借り手がつかない物件を選ぶ

なかなか借り手がつかない物件は、交渉によって有利な条件を勝ち取りやすいともいえます。たとえば、人気がなく空室が続いているような物件は値引き交渉がしやすい物件のひとつです。家主にとっては、入居者が決まらなければ収入も得られません。そのため、空室が多い物件では、家賃を多少安くしてでも入居してほしいということが多いのです。

また、日当たりが悪かったり、駅から遠かったりという物件は、どうしても敬遠されがちです。しかし、日中に外出することが多い場合、日当たりが悪くてもそこまで気にならないという人もいます。駅から遠い物件でも、通勤や通学に電車を利用しないなら問題にならない場合もあります。このように、一般的には人気がない物件でも、自分の生活スタイルによっては穴場となる場合もあるのです。そういう物件を狙って部屋探しをすることも、安く物件を借りるためのコツといえます。

仲介手数料不要の物件を探す

たとえば、不動産会社所有の物件など、物件によっては仲介手数料が不要となっている場合もあります。仲介手数料は、貸主と借主を仲介することで発生する手数料です。しかし、不動産会社所有の物件の場合、不動産会社が行う業務は貸主と借主の仲介ではありません。したがって、そのような物件を借りた場合には、仲介手数料を支払う必要もないのです。

また、借り手をつけるために、家主が仲介手数料を全額負担しているケースもあります。その場合も、仲介手数料は不要です。仲介手数料が不要なら、初期費用の負担はかなり軽くなります。最初は不要になっていなくても、交渉によって減額できたり、無料にできたりすることもあります。まずは仲介手数料不要の物件を探しつつ、発生する場合でも減額や無料にならないか交渉してみましょう。

初期費用を抑えるには仲介手数料の節約がカギ

初期費用において、仲介手数料は意外と大きなウエートを占めます。その分、仲介手数料が無料あるいは半額の物件ほど、お得感も強くなります。ただ、なかには「物件探しに時間が取れない」「急いで引越ししなければいけない」といった事情を抱えている人もいるでしょう。そんなときは、家賃に関係なく仲介手数料無料あるいは3万9000円に抑えられる「サンキュールーム(http://39room.com/)」に相談してみましょう。

【この記事の監修】
大槻陽一 株式会社GKコンサルティング代表取締役

一部上場企業退職後、六本木のレストランにて接客スキルを学ぶ。その後、不動産会社・IT企業での勤務を得て 2013年8月、株式会社GKコンサルティングを設立。現在まで3,000件以上の不動産取引を経験。 取引慣習にブラックボックス的な要素が多く、一般のユーザーにとって不透明な不動産業界を変えるため、インターネットメディアを通じて有益な情報を届けている。

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